古事記とバレンタインとクジラ
「バレンタインデー」は特別な日である。
商業主義に踊らされ、由来不明であろうが、やはり特別な日であることには間違いない。これを素直に否定できる人はいないだろう。
「女性が男性に告白する」ということは、われわれの大和民族の祖イザナギ・イザナミの二神が国産みの課程で会得した最初の禁忌である。それをこの日だけは「よい」としたのは、禁忌破りの「ハレ」の日であると宣言したに近い。
このような大胆なことをしたにもかかわらず、根拠は大いに薄弱で、ローマ社会での男女のお見合いの日らしいが、はっきりしない。聖バレンタインという殉教聖人も特定が難しい。なにより、15世紀まではてんかん患者の救いの神であり、その後英国ポストカード業者から、日本のチョコレート業者を経て、今の状況に至る。実質聖バレンタインという神は、大和撫子のために20世紀に顕現した最新の神ととらえるのが正解である。ご利益は若い権現らしく目覚ましく、扱いを間違えると祟りも怖い日本の神様になったのである。
イザナミ・イザナギの話に戻るが、乙女のイザナミは禁忌を破ったわけではない、禁忌はまだなかった、しかし失敗に終わる。正確に書くと「女性から告白することで得られる子は不具で流れされてしまう」のだ。そこで教訓をえた二神はもう一度今度はイザナギから声をかけなおし、めでたく国産みに成功する。これが「ホワイトデー」の起源である。このように民族意識の底流にいた護国の神が、西洋の侵略に対抗して、別のお菓子業者を導いて創った仕組みは当然抵抗なく喜びをもって受け入れられたが、調子に乗った果樹屋が狙った4月14日のオレンジデーは当然ながら受け入れられていない。
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