腐敗の消費者市場
「ソニータイマー」という言葉がある。これは電気製品などが保証期間を過ぎるころに動作を停止したり、破損することである。メーカーとしては壊れてしまったほうが、新しい商品が売れるのでそこを狙って耐久品質を設計製造することが正しいという人もいる。メーカーにとっての不要な耐久性は削られ、ブランド価値を維持するための広告宣伝費に廻される。顧客は広告を追加購入するために、耐久性の低い商品を選択している有様である。街の電器屋さんが姿を消したので、こうなったともいえる。
一方で「まだ残っている」街の自動車屋のオイル交換時期の目安としての走行距離は、まちまちである。例を挙げると、
- ガソリンスタンドで3,000km~5,000km
- 自動車ディーラーで5,000km~10,000km
- 自動車メーカーは10,000km~20,000km
- オイルメーカーは20,000km~30,000km
メーカーのターゲットとしての「マイルドヤンキー」を生み出し、ユーザーのリテラシーを低下させてる原因は、自動車に興味がある人ほど自動車メーカーの情報を鵜呑みにせざるをえないちょうちん情報に純化していくメディア状況にもある。雑誌、テレビはほとんどの場合、提供者(スポンサー)の広告の場として、彼らの利に反する情報を伝えない。評論家も「ちょうちん持ち」と化し、生計の手段を雑誌、出版、TV出演などに握られて、批判も許されない。もちろんネット上でも大資本への不利な情報は出回りにくいし、削除され、検索から除外される。国はメーカーと相談しながら、道路を作り続け、車検制度、免許制度を、既得権益として維持し続け、そこへの疑問すら反社会的とみなされる。
「安くてよいもの」をつくっていた自動車メーカーや電器メーカーは次々と姿を消す。広告と宣伝を活動の主眼におくメーカーばかりが幅を利かせる。クライスラーに食あたりしたままのダイムラーと、子会社と道路交通法を巧妙に調理しながら生き延びる卜ヨ夕。
しかし究極の腐敗市場は大型オートバイだ、遅い、止まらない、曲がらない、さらに取り扱いにくくて、日本の道路や日本人の体格に会わない、錆びやすく、壊れやすく、燃費の悪い商品を、スタイリッシュな”自由の象徴”として、ついには免許制度を変更して販売促進し、シェアNo.1になってしまったという「禍根」を残した消費者達は、彼らにふさわしいメディアを養い育て続けるのだろうか?
新品くささの抜けない全身黒革男達が、音だけは勇ましく、国道を不自由そうにヨタヨタと走らされているのを眺めていると、案外と幸せそうな修験者連中に鈴菌入りのお接待をしてあげたくなる。
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